どうして君はそんな眼をするんだ…


大園桃子…乃木坂高校に通う2年生


彼女はクラスの女子たちにイジメられている


どうしてイジメられてのか


気に触るような言葉を吐いたのか


それともそういう態度をしたのか


否…なんとなくだ


なんとなくでイジメられている


彼女は勉強も並、運動も並


気弱そうな雰囲気を纏っている


イジメられている原因を強いて言うなら地味だが、少し可愛い


クラスの女子達は地味だからという理由でイジメている


言い返されない、反抗しない…そんな理由でイジメてる


同じクラスの男子も何も言わない


僕も何も言わない、そんな僕は傍観者


彼女はイジメられてる最中でも声も上げず


ただ下を向いて、耐えている


それがイジメてる女子達をつけ上がらせる


そんな彼女を皆が弱いと罵る


〇「はっ…彼女が弱いだって?」


馬鹿げてる…彼女は弱くなんてない


彼女の瞳を見ればわかる


イジメられてる最中でも彼女の瞳に悲壮感を感じられない


強い灯火を感じる…それはイジメられてる人間の瞳じゃない


女子1「あはははは!」


女子2「こいつ本当に何も言わないなぁー!www」


桃子「………」


〇「……」


まただ…またあの瞳で僕を見ている


どうして僕なのか


なんで何も言わずに見つめるだけなのか


それがわからずにある事件が起きた


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“バシャァアア!!”


そんな音の後、クラスが静まり返る


クラスメイト全員が音がした方に視線をやる


そこには頭からバケツで水をかけられた大園さんがいた


女子1「あははははは!!!まじでこんだけしても声も出さないのな!www」


桃子「……」ポタポタッ


女子2「あらぁ〜、Yシャツが濡れて下着が透けてるじゃんwすっごいサービス精神www」


女子1「全裸にしても何も言わないんじゃねwww」


流石にやりすぐだろう!


立ちあがろうとするが…大園さんが顔あげて僕を見やる


 〇「っ…」


女子1「じゃあみんなに盛大にサービスしちゃおーう!!」


大園さんの服に手をかける女子1、するとその前に大園さんが立ち上がる


女子1「な、なんだよ」


桃子「…」


“パンっ!!”


乾いた音が教室に響く。


女子1「なっ!?」


女子2「なにすんのよ!!」


まさか…まさか大園さんが女子1さんの頬を叩くとは…


女子1「な、なにすんだよ!!」


そう言うと手を振り上げる。


“パシッ”


女子1「し、白石くん?」


〇「そこまでだよ…君達はやりすぎた…やりすぎたんだ」


女子2「この女を庇うの?!そんなことしたら今度は白石くんだよ!!」


〇「あぁ、それでもいいさ」


“さ、流石にやりすぎだな…”


“あぁ、そうだよな”


男子達がザワザワし出す。


〇「これ以上、大園さんをイジメるなら先生に報告するよ」


女子1「っ…」


女子2「か、帰ろう!」


女子1「う、うん」


教室を出ていく女子達。


〇「大丈夫かい?大園さん」


桃子「……」ポタポタッ


〇「体操着は持ってきた?」


桃子「……ない」


〇「わかった」


〇〇は自分のロッカーから体操着袋を取り出すと


桃子の手を引いて、教室をでる。


桃子「……」


〇「……」


〇〇達は保健室に移動する。


“ガラガラっ”


〇「先生はいないのか…」


そう言うと桃子をベッドの方に連れて行き、体操着袋を渡すとカーテンを閉める。


〇「僕ので悪いけど、着替えて…袋の中にタオルも入ってるから」


カーテン越しに話しかける。


桃子「……」ポタポタッ


保健室が静寂に包まれる中、


大園さんから滴り落ちているであろう水滴だけが響き渡る。


桃子「どうして…」


〇「え…?」


桃子「どうして私を助けたの…」


大園さんのか細い声が耳に届く。


〇「それ…は…」


桃子「いつも通り、傍観者でいればよかったのに…どうして?」


〇「っ…」


言葉に詰まる…あの時はやりすぎだろうと行動したけど


今までもそう思ったことは何度もある…しかし行動に出たのは今回は初めて


“シャー”


〇「お、大園さん!?」


カーテンを開ける桃子は濡れたYシャツを脱ぎ捨て、上半身下着姿のまま


桃子「答えて…どうして私を助けたの?」


未だ濡れている大園さんの視線が僕に突き刺さる


〇「…わからない…ただ体が動いてた」


桃子「そう…そっか…」


僕から視線を外す大園さん


〇「僕も聞いてもいいかな?」


桃子「なに?」


また視線を僕に向ける。


〇「どうして僕を見つめていたの?」


桃子「あなたが…白石くんが好きだから」


なんとも思ってないように答える桃子


〇「え…」


桃子「半年前、イジメられて怪我した私の手当をしてくれた」


半年前…2年生になりたての頃…


〇「それだけ?それだけで…『私には十分だった』…」


僕の言葉を遮るように喋り出す大園さん


桃子「あの頃、私は苦しかった…なにもしてないのにイジメられて…自分を責めたりもした…イジメられてるのは自分が悪いんだって…しかもクラスのみんなは見てみぬふり」


〇「…それは僕も…」


桃子「確かにみんなの前では助けてくれはしなかった」


〇「なら…」


桃子「それでもあの日…怪我を手当してくれたあの日…白石くんが言った言葉に私は救われた…“なにもしてあげられなくてごめん…だけど…大園さんは悪くない…絶対に悪くない”って」


大園さんの目から涙が頬を伝い床に落ちる。


桃子「あの言葉に何度も救われた、私は悪くない…悪くないんだって…だから耐えてきた」


〇「ならどうして今日はあんなこと…」


桃子「白石くんが動いてくれたから、私を助ける為に行動をしようとしてくれたから」


〇「……」


桃子「別に白石くんに返事を聞くはないの…これは私の片思い」


〇「……」


桃子「着替えるね…」


“シャー“


カーテンを閉める桃子。

〜〜〜〜〜



“シャー”


着替え終わった桃子が中から出てくる。


桃子「体操着ありがとう…明日ロッカーに入れておくね」


そう言うと鞄を持って保健室から出て行こうとする。


〇「ま、待って!」


桃子「どうしたの?」


振り向く桃子


〇「送るよ」


桃子「…うん」

僕と大園さんは保健室を出て、玄関で靴に履き替えて


校舎から校門に、そして学校をでる。


〇「……」


桃子「……」


校門を出てからお互い何も発さない。


“コツコツ…コツ”


大園さんが足を止める。


〇「どうしたの?」


桃子「やっぱり答えが欲しいな」


〇「…告白の答え?」


桃子「…」コクリッ


俯いたまま頷く大園さん


〇「…っ…」


言葉に詰まっていると、顔を上げる大園さん


その瞳はいつもの強い瞳ではなく、見た目と同様


儚くも、弱々しい目をしていた


その目を見た時に僕の気持ちに答えが出た。


桃子「…やっぱりいいや」


歩き出す桃子。


〇「待って!」


桃子「えっ…」


“ぎゅっ”


桃子を後ろから抱きしめる〇〇。


〇「これが大園さんへの答えだよ」


桃子「っ…」


〇「これからはちゃんと守るから…」


桃子「うんっ…うん!」


笑顔の君の瞳は濡れていて


優しい視線が僕の気持ちを包み込んでいた。



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この作品はフィクションです。


実際の人物・団体・場所とは関係ありません。


またこの作品内の表現や行動はあくまでも、


作品としてなので、実際に行っても、


責任は取りかねますのでご了承ください。